私の事務所の実験室の様子です。
■1992年(中国ビジネス夜明け前)
北米テレビ用半導体の市場参入に成功した経営トップは、中国テレビ市場にも大きな興味を持っていました。 丁度その頃、香港にある中国向け販社の社長の意向を受けた上海事務所長が群馬開発部を訪問しました。 中国テレビビジネスへ参入する構想を説明し、開発部門へ協力を要望しました。 この会議に私も呼ばれました。
■中国現地の提案を受けて、ハードとソフトの技術者が集まって検討した結果、
中国(PAL方式)のテレビチューナーはV-syn方式であり14bitPWMのハードが必須である。
しかし現在の三洋マイコンは内蔵7bitPWMしかなく、
PWMハードを内蔵するマイコンの開発が必須との結論となりました。
通常では新マイコンの開発は論理回路設計、レイアウト検証、
ES品動作検証に半年以上の時間がかかります。
■しかし早急に市場参入したい幹部から会議の後で、
私にソフトで実現する方法を検討する様に指示が出されました。
私が以前にVTRの二個のマイコン(シスコンとタイマー)のソフトを統合して
一個のマイコンで実現した例を引合いに、検討する様にお願いされました。
それを受けて試行錯誤を重ね、
マイコン内蔵の未使用7bitPWMを利用してV-synチューナー用PWMを実現する方法を考えました。
■V-syn用PWMをソフトで実現する際の課題は7bit-PWMの出力値を128μsec毎に正確に変化させる必要がある点です。 これを実現するには正確に128stepごとにソフト処理が必要となります。しかし従来のマイコンソフトの構造では最速でも500stepが限界でした。 そこで従来では実施していなかった新しい概念でソフト構造を再構築しました。 重要なポイントは下記です。
1)多重割込み構造
2)赤外リモコン受信処理の再分割
3)内蔵ハードウエアとソフト処理の同期化
■ソフトウエアでチューナー用のPWMを作成したサンプルソフトを完成しました。
このソフトを搭載した試作品のテレビを作成し動作確認をすることにしました。
V-synテレビの選局処理はそれまでPAL方式のVTRの開発経験から、その受信アルゴリズムを利用して作成しました。
実験室で性能を確認し使用できるとの結論に至りました。
次のステップは実際にテレビメーカーで検証する必要が有ります。
■拡販デモセットの作成
テレビメーカーが中国で販売しているLA7680搭載テレビを購入しました。
このセットは三洋半導体のLA7680と三菱マイコンの2chip構成となっています。
そのボード上のマイコンを取り外し、端子配列変換ソケットを作成してLC864012Lと接続しました。
この試作ボードを使用してPALテレビソフトの受信機能を確認し、良好な結果を得ました。
そこでこのボードを持って中国へ出張し紹介する事にしました。
■戦略
営業スタッフと一緒に出張とデモ戦略を考えました。
①中国大手メーカーへデモして拡販。
上海電視一廠、厦門華僑、熊猫、牡丹、長虹
②中国の設計会社へデモ。
設計会社へ三洋マイコンの実力を紹介し、技術サポートと共同開発を提案する。
その上で彼らが協業を認めてくれる条件を探す。
以上。